みなさんこんにちは。今回はオランダの謎多きフィンテック企業であるAdyenについて書いていきます。
この記事を書いている私は米国株投資3年目。現在は主に米国の個別株に投資をしています。今回は私の注目している銘柄の一つであるadyenの事業内容やビジネスモデルについて詳しく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
本記事の内容
- Adyenとは
- Adyenの直近決算まとめ
- まとめ
1.Adyenとは
まずはじめにAdyenが何をやっている企業なのか紹介していきます。
Adyenとは、欧州を中心にグローバル決済プラットフォームを提供している企業です。2023年現在で世界各地に26拠点でサービスを提供しています。顧客にはNIKE、Uber、Microsoft、Spotifyなど世界的な大企業が名を連ねています。
Adyen公式HPより引用
Adyenは、2006年にピーテル・ヴァン・デル・ドーズとアーノウド・シュラフをはじめとする起業家たちによって設立されました。当時の既存の決済技術は、旧式のインフラ上にパッチワークのようにシステムがつぎはぎされたものでした。起業家たちは、ビジネスの成長を支援することを目指して、今日の急成長するグローバルビジネスで急速に進化するニーズを満たせるプラットフォームを構築すべく立ち上がりました。
CEOはこの方
出典:adyen公式HP
Adyenのサービスを知る上で知っておきたいのがアクワイアリングバンクという言葉。
顧客にとっては、カードをタップするだけで数秒後には決済が完了します。しかしあらゆる決済の裏には、複数の金融機関による複雑なリレーがあり、アクワイアリングバンクがそれを可能にします。
Adyenのような決済業者はアクワイアラーと呼ばれ、円滑な決済処理を可能にするソリューションを提供しています。
アクワイアリングの流れは動画で見るとわかりやすいかもしれません。
出典:adyen公式HP
Adyenの強みを超簡単に言ってしまえば、一つのプラットフォームで決済処理をグローバルに展開できるところです。顧客がグローバル展開している大企業に集中しているのもうなづけます。
Adyenのシェア
出典:adyen公式HP
気になる競合としてはStripeやDlocalが挙げられると思います。前者は先進国全般で主に中小企業向け、後者はラテンアメリカを中心とした新興国の大企業向け、そしてAdyenは欧州の大企業向けといった立ち位置になっています。
最近娘がSHEINのオンラインショップで買い物をした時に、決済画面でAdyenの文字を発見。SHEINのような急成長中の企業にもAdyenの技術がひと役買っているんですね。
2.Adyenの直近決算まとめ
- 決算ハイライト
- ビジネスハイライト
- 今後の見通し
1-1:決算ハイライト
Adyenの決算は欧州の会計基準となっている(よくわかりません)ためか、H1とH2の2半期構成となっているのでややこしいです。見る際はご注意を。
出典:adyen公式HP
決算資料よりポイント抜粋
- 処理量は2022年上半期の3,458億ユーロで、前年比60%増加し、純収益は6億850万ユーロで、前年同期比37%増加した。当期の純利益は2億8,210万ユーロで、前年同期比38%増加した。
- EBITDAは3億5,630万ユーロで、前年同期比31%増加した。EBITDAマージンは59%だった。
- フリーキャッシュフローは、H1 2022で3億890万ユーロで、前年比25%増加した。フリーキャッシュフロー換算率は87%だった。
- 処理量のうち、POS量は494億ユーロで、総処理量の13%を占め、前年同期比97%増加した。
- 成長の80%以上がすでにプラットフォーム上の顧客から来ており、解約率は1%未満と低水準を維持している。
出典:adyen公式HP
決算資料よりポイント抜粋
- 純収益拠出額は、2022年上半期に業界や地域を超えて多様化し続けた。純収益の地理的多様化について - EMEAは純収益の57%を占め、続いて北米(25%)、APAC(11%)、LATAM(7%)が貢献している。
- APACからの純収益拠出前年比成長率(前年同期比53%増加)、続いて北米(前年同期比52%増)、EMEAを上回る(前年同期比30%増)、LATAM(前年同期比25%増)
- H1 2022テイク率は17.6bpsだった。参考までに、H2 2021は18.6、H1 2021は20.6 bpsだった。この減少は、収益性の高いボリュームを大規模にオンボードし続けているため、段階的な価格設定モデルと戦略の実行の成功の自然な結果である。
- 2022年H1の営業費用は2億7,770万ユーロで、2021年1月1日から47%上昇した。従業員の福利厚生は1億5,850万ユーロで、前年比33%増加した。その他の営業費用では販売費とマーケティング費用が2420万ユーロで、前年比41%増加した。
2-2:ビジネスハイライト
出典:adyen公式HP
決算資料よりポイント抜粋
- Uberのようなブランドの代名詞である目に見えない支払いへの進化は、減速の兆候なく、他の業界(ゲーム、オンライン小売など)も混乱させています。お客様は、これらの進化する状況に迅速に適応できるパートナーを必要としています。
- お客様に最先端の買い物客の旅にアクセスできるように、このサービスの拡大に継続的に投資しています。2022年上半期、これらの投資により、Appleと共同で自社製の端末とTap to Pay on iPhoneが発売されました。
出典:adyen公式HP
決算資料よりポイント抜粋
- 最も複雑な消費者の要求をシームレスな買い物客の旅(セルフチェックアウト、キャッシャーレスストア、オンライン注文、店舗でのピックアップなど)に変換する当社の能力は、既存の顧客との成長を促進し続け、ディオールセインツ、ユニクロなどの知名度の高いブランドが当社の技術を選択し、当社の製品の関連性をさらに強化することで、新規顧客を獲得するのに役立ちます。
- 私たちは、最もスケーラブルな方法で市場のロングテールに対処するために、プラットフォームビジネスと提携しています。これらのパートナーシップを通じて、中小企業は業界をリードする金融技術にアクセスできます。
- プラットフォームのボリュームをさらに拡大する場合、プラットフォームスペースでのユニファイドコマースサービスの成長は特に注目に値します。デジタル化がSMBスペースに到達するというより広範な傾向の中で、統一されたコマース戦略の価値を市場のロングテールにもたらすにつれて、プラットフォームの柱内のPOS数量が前年比304%増加しました。
- 2017年にAdyen for Platformsを立ち上げたとき、私たちはオンライン決済だけに焦点を当てました。現在、Adyen for Platformsを、統一されたコマース戦略、本格的な組み込み金融製品スイート、コンプライアンスおよびオンボーディングサービスを提供する単一の統合に構築しています。これはすべて、ユーザーとの関係がもたらす収益機会をさらに活用しようとしているプラットフォームビジネスのより広範な傾向に作用します。
2-3:今後の見通し
決算資料よりポイント抜粋
- 2022年上半期に、ガイダンスの更新につながるビジネスの発展は見られませんでした。したがって、以下の財務目標は、前回結果を公表した時から変わりません。
- 純収益成長:販売戦略を実行することにより、純収益を継続的に増加させ、中期的に20%台半ばから30%台半ばの間にCAGRを達成することを目指しています。
- EBITDAマージン:EBITDAマージンの改善を目指しており、このマージンは今後の営業レバレッジの恩恵を受け、長期的に65%を超えるレベルに上昇することを期待しています。
- 設備投資:純利益の最大5%の持続可能な設備投資レベルを維持することを目指しています。
そんなAdyenの現在の株価はというと
出典:adyen公式HP
もうこの形見飽きたわってくらいみんな同じ形してますね。高値からほぼ半値になっています。
PSRは22年売上ベースで3倍ほど。Dlocalよりかなり安いと感じますが、この辺はどう評価されているのかよくわからないですね。ただ、フリーキャッシュフローが20%超成長していて、EBITDAマージンも59%と高水準、儲かる仕組みが出来上がっている企業と考えると、長期的には報われるしかないと思ってしまいますがどうでしょうか。
3.まとめ
ここまでオランダの激アツ企業Adyenをまとめていきます。
- Adyenは、欧州を中心にグローバル決済プラットフォームを提供している企業。世界各地に26拠点でサービスを提供し、顧客にはNIKE、Uber、Microsoft、Spotifyなど世界的な大企業が名を連ねている。
- 2022年上半期の純収益は6億850万ユーロで、前年同期比37%増加、当期の純利益は2億8,210万ユーロで、前年同期比38%増加した。
- EBITDAは3億5,630万ユーロで、前年同期比31%増加、EBITDAマージンは脅威の59%でめちゃくちゃ儲かっている。
- フリーキャッシュフローは、H1 2022で3億890万ユーロで、前年比25%増加した。フリーキャッシュフロー換算率は87%と安定している。
- 今後は純収益を継続的に増加させ、中期的に20%台半ばから30%台半ばの間にCAGRを達成することを目指し、EBITDAマージンは今後の営業レバレッジの恩恵を受け、長期的に65%を超えるレベルに上昇することを期待している。
こんな感じです。
私が特に魅力的に感じた点は、フリーキャッシュフローが増えていること、高水準なEBITDAマージンです。成長重視で赤字垂れ流し企業とは違う堅実さがAdyenの良さではないでしょうか。2023年は欧州もマクロの影響は避けられないと思いますが、乗り越えた先に明るい未来が待っているように感じました。
米国のフィンテックと比べると色々と地味なんですが、数字で黙らせてくるところがカッコ良すぎる燻し銀な企業ですね。
今回は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。Twitterも楽しくやってますのでフォローお願いします。
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